Chain Of Survival!! 命の連鎖

心臓に電気ショックを与える機器であるAED(自動体外式除細動器)は,2003年に救急救命士,2004年7月に一般市民も使用が許可された.それに伴い,学校,空港,駅などの人が集まる公共施設に設置され始め,市民の認識も高まりつつある.
 しかし,AEDの存在は知っていても実際に使えるかということになると,残念ながらほとんどの人が使えないのが現状である.

これは,
AEDが使用できるようになってからまだ数年しか経っていない
AEDの使用方法を教えてもらう機会が無い(運転免許取得時ぐらいか)
など,様々な理由が考えられる.
 日常生活で人が倒れた場合,一般市民が第一発見者となる可能性はとても高く,この倒れた瞬間からいかに早く心肺蘇生を行い,AEDを使用するかが救命率を左右する.
 先日行われた東京マラソン2009では,タレントの松村邦洋さんが突然倒れ心肺停止状態となりAEDを使用したという報道は記憶に新しい.ランナー3万5千人に対してAED約60台を用意している.
人が倒れたらすぐに駆け寄って処置を行い,119番通報をするという一見当たり前のようだが,人が倒れているだけでも動転しているのに,肉親等ならなおさら初動が遅れる.

それでは,一次救命処置の仕方やAEDの使用方法はどこで教えてくれるのか?
例えば,消防署で行っている救命講習は無料で行っている.しかし,広報で呼びかけても満員御礼になることは稀で,それに要するインストラクターである救命士の人件費も馬鹿にならない.
 では,市民は一次救命処置やAEDの使用方法に興味が無いのかというと,そうではなさそうである.私たちが行う講習会でも,受けてみたかったけど腰が重いというのが本音であり,実際現実味を帯びないことに時間を費やすのは無駄のような気がするという考えは理解できる.

 下のグラフは私たちが作った一次救命処置,及びAEDの使い方の映像をYOU TUBEにアップした36066回の統計である.興味深いのは私たちの講習会の受講率は男女比では女性が多く,40代が最も少ないがこのデータは全くの逆である.これはまさに「興味はあるが,講習会に行くまでは…」ということか.
insight20091019.pnginsight200910192.png(2009/10/19現在)


といっても,救命処置の普及率は上昇し,消防庁によると07年の救命講習修了者は157万2328人と過去最高を記録。一般市民による応急手当の実施率も47.6%と、05年以降増加傾向にあり、救命率の向上につながる大きな要因になっていると分析している。

次に示すグラフはドリンカーの救命曲線であるが,1分でも早い救命処置の開始が求められる一方で,20年度救急白書では救急車が現場到着するまでの時間は平均7分であると発表された(1996年:3.54分、2006年:6.36分)

ドリンカー.png

このデータからも一般市民の一次救命処置の必要性がうかがえる.

以上より,一般市民が当たり前にAEDを使用できる環境を整備することは急務であると考え,私たちは微力ながら毎月大竹市を中心に一般市民に対する講習会をボランティアで行っている.
 また,講習会の責任者である広島大学救急医学教室の貞森は,趣味である音楽活動の一環でライブハウスでAEDの使い方を説明している.

そこで,音楽イベントとしてのテーマとして「命」を選択.多数のアマチュアミュージシャンの賛同を得られ,イベント開催の運びとなった.
 私たちが想定するメインターゲットは高校生およびその親である.イベントに参加できるだけの演奏技術があり,10代後半で感受性が豊かなこと,なによりここで教育できないと一生できない.
 ここで,敢えて教育という言葉を用いたのは,文科省の教育要綱には救急処置の項目が入っているのに,時間,人材等の様々な理由でほとんど行われていないのが現状だからである.
 また,社会人のミュージシャンの参加も予定している.私たちが普段懇意にしている方たちをはじめライブハウスからの推薦のバンドもある.各バンドにはイベントの主旨を説明し,事前に「あなたが思う命とは」というテーマでコメントをもらうことにしている.
 また,イベント当日は約30分ほどシンポジウムを行う予定.シンポジストに,NPOあなたが救う救命救急広島理事長である谷川氏をはじめと高校生や社会人ミュージシャンなどを考えている